へたれンパイア~バイオレンスな生贄~


けれど、やっぱり心は浮かばれない。


…否、それは決して‘ザコサッカー’の命を奪ったからとかじゃなく



「どこにいるのよ………ヴァンパイアブラッド」

すがるような瞳を黒塗りの空に向け、頬に当たる‘手荒い’風の感触を感じた。


潤ってみずみずしい赤子の肌さえも、一瞬でミイラに化してしまえそうな乾いた風に、あたしの腰まで伸ばした長い髪もなびく

パタパタと煽られるマントの音を聞きながら、声なき声を探るようにあたしは静かに目を閉じた。


聞こえるのは……自分の静かな呼吸音と辺りをざわめかす風の音

そして、どこかで遠吠えする獣の鳴き声に……



「いた」

その気配を瞬時に感じ取ったあたしは、カッと大きく目を見開き、一目散にそこに向けて走り出した。


一昔前までは、人々の喧騒と賑わいで栄えていたであろう荒廃した街並みを駆け抜け、今は動植物でさえも枯れ果てたみすぼらしい大地の上にヒールの十字跡を残して行く。



刻み込むのは、生きた証か嘆きの産物か


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