へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
なるほど、確かにこれはキルバッシュじゃないといい実験台には、ならないわけだ……
扱い慣れないものを器用に使いこなしている彼を眺めて、あたしは改めてその実力の高さを感じた。
「あ」
「…?」
しかし、勢いに乗せて下降線を辿っている最中、不意に低くそう呟いたキルバッシュに、あたしもウェルシーも不思議そうに顔を上げた。
…その少しバツが悪そうな表情に、嫌な予感が漂う
そして、案の上、聞きたくもない言葉が苦笑と共に漏れ出させられた。
「ごめんね…ちょっと‘もちそう’にないや」
「え…!?」
「…はぁ!?」
互いの驚愕の叫びもよく聞こえない間に、ガキンッと清々しいまでの屈折音がして、体が宙に投げ出される。
…どうやら、ただの実験品は三人分の重さに、耐えられなかったと言えよう
「う゛わああぁぁあー!!」
耳障りなウェルシーの悲鳴が鼓膜に響き、あたし達は残り三階分の高さを転げ落ちた。
ズダンッ、と腰骨と背中に伝わる振動に眉を寄せ、じんわりと痺れる手のひらから、無事に最下に辿り着いたことを悟る。