へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
すると
「うわあぁぁあぁ!!」
「……!?」
突然、あたしの進行方向を妨げるように、狭い脇道から飛び出してきたソイツに足を止めた。
そして、その奇抜な容姿を見て目を見張る。
…金色が強い深緑の髪に、ハッキリした虹彩が掴めない不思議な色をした瞳
年の頃合いで行くと二十代前半くらいで、その顔立ちは全体的にシャープでキレのある印象……なのだが…?
「う゛わ゛あぁぁ!よがっだぁぁ!!だずげで~!!」
「はっ!?えっ、ちょ…っ…待て!!うわっ!?」
初対面の女に、突然抱きついて来たところを見ると…どうやら、一般人しての常識に欠けているところがあるらしい。
あまつさえ、容赦なくその全体重をかけてくるものだから……流石のあたしも重みに耐えきれずに、地面に倒れてしまう。
「……っ…たぁ…」
その拍子に頭と背中を思い切り打ち付け、したたかな痛みに眉を寄せた。
しかし
あたしにそんな痛みを負わせた張本人であるソイツは、全く労る素振りなんか見せず、逆に鼻水とヨダレでベトベトの顔で助けを求めてくる。