へたれンパイア~バイオレンスな生贄~


「何故…かな?」


「……っ」

すぐに答えを返さないメフィストに、周りが若干変な雰囲気になる。


「ち…ちょっと…」

このままでは、‘あらぬ噂話’が立てられてしまうと危ぶんだあたしは、慌てて二人の間に割り入った。



「おっ、間に入ったぞ」

「なんだ何だ、三角関係か?」


しかし、それが逆に余計な火種となって、あたしに降り注ぐ。


「どっちが本命なんだ?」

「さぁ…だがまさか、隊長を手玉に取ってた、なんて事はないだろうな…」


ヒソヒソと囁かれる 根も葉もない憶測の話が、ものスゴいスピードでフロア中に伝わっていく

その光景に、あたしは最早否定するのも忘れて呆然とした。




「…‥理由なら…あるよ」


「え…?」


「姉さんを好きな理由なら…ある」


すると、不意に何かを見い出したように顔を上げ、しっかりとキルバッシュを見据えてそう言うメフィストに、ハッとする。



…何だか、ここに来て初めてこいつがマトモに見えた…‥


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