へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
悪夢
「招集命令?」
「そうなんだ。珍しく、本部の指令部に呼び出されてね」
「キルバッシュ達だけか?」
「いや、全支部の隊長達も呼び出しを受けてる」
そう答えた彼は、少しだけ悪戯っ気のある顔をして、声をひそめてくる。
「本当は、面倒だから行きたくないんだけどね」
コソッ、とそんな事を耳打ちすると、何だか上機嫌な様で微笑んだ。
その屈託のない笑顔に、さっきまでの微妙な機嫌の悪さは気のせいだったのか…とさえ思う程だった
「だから…これから数日間、この基地の警護は手薄になる」
ピタリと足を止めたキルバッシュの前には、あたしの部屋へと続く扉があった。
「…いいのか?そんなんで」
思わず、そう問い掛けてしまう
「良くはないけど、仕方が無いよね」
そう言って話を終わらせるようにニコリと微笑むと、キルバッシュは緩慢な動作で扉を開け、あたしを中に促した。
それに従い、室内に足を踏み入れながら、また懸念げに問う