へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
「そんな時に、またヴァンパイア共が攻め込んで来たりなんかしたら、どうするんだ?」
そして
そこで、てっきり別れの挨拶をするのかと、ばかり思っていたあたしは…振り向きざまに、後ろ手に扉を閉め、一緒に部屋に入室して来ているキルバッシュの姿を見て驚いた。
「キ、キル…‥?」
「傷、見せて」
優しい微笑みを浮かべたまま、有無を言わせぬ感じでそう言ってくるキルバッシュに、あたしは息を呑む。
「吸われたんだよね、血」
美しいターコイズグリーンの瞳から、目が離せなくなった。
「い…いや、これは、その…全然、大した事なくて…‥だな…」
しかし、動揺に震える声と共にあたしの肩は掴まれ、易々とその傷口を暴かれてしまう
「痛かった?」
「あ…ああ、いや…っ、そんなに大した事は……」
自分の肩に釘付けになる視線に、どうしたら良いのか分からず…視線を下げ、ただ曖昧に答えた。
「消毒してあげる」
「……はっ!?」
突如として言われたそんな言葉に理解が示せず、思わず頓狂な声をあげる。