☆三つ星☆
カチャッとドアの開く音がする。

ハッとして振り返ると、窓の音がしたから…と、

笑いながら入って来る。

「早苗ちゃん、今日はちゃんと寝られた?」

尋ねながら、ベッドに腰掛ける。

40代後半には思えないほど、肌の張りがよく、おおらかで笑うとえくぼが出来るその人は、早苗の育ての親だ。

「今日はお姉さんと、お義兄さんのお墓参りだものね。」

『お姉さん』と言ったのは早苗にとってではない。

育ての親にとってである。要は、叔母。

実の母にとっては妹にあたるのだ。
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