☆三つ星☆
村松の言った真意が掴めず早苗はきょとんとする。


「あなたは、一人じゃない時に幸せを感じると言った。希望を見いだすと言った。
でもね、実際は孤独に対して不幸を感じるの。絶望しているの。違うかしら?この二つは同義なんだけど、全く違うわよね。」

言われて早苗ははっとする。確かにその通りだ。

「だからね、最初に言ったでしょ?同じ事実でも少し視点を変えれば、ずっと違ったモノに見える。って。過去に絶望する前に未来に希望を見いだすのよ。過去は変えられないけれど、未来はあなたの手でどうにでもなる。考え方、価値観、これらを替えれば今よりずっとマシなものになると思う。あなたは、過去に歩くのではなく、未来に向かって歩くべきよ。」

村松はにこっと笑いながら、早苗の頭を撫でる。

「だけど私は前向きになんてなれない。希望なんて見いだせないよ。」
と早苗は訴える。
「そうね。確かに、もの凄くエネルギーがいるし、怖くてその一歩を踏み出せない気持ちもよく分かるわ。でも、その一方で、今こうしていても、何も変わらないってことも分かるわよね?」
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