☆三つ星☆
「だからね、考えを変えるの。ダメかもしれない。上手くできないかもしれない…でも、もしかしたら、本当にもしかしたら上手く出来るかもしれないってね。
どうせ何も変わらないなら、何もやらないよりは、何かをやった方がいいと思わない?だって、失うものはもう何もないでしょ?全部失ったんだから。だから、これからは、その手で何かを得るの。何かを摑み取るの。そしてね、前を向いてごらん。きっと、未来は希望に満ちあふれているはずだから。」

さーてと次の患者さんのところに行かなきゃね…と言いながら、村松は部屋を後にする。

早苗は考えた。

『私は、孤独だと思ってた。いつも一人だと思ってた。誰かに見て欲しいって思ってた。
いつも、記憶の中の母に縋っていた。だったら、誰かと一緒にいればいい。誰かに見てもらえる自分になればいい。みんなに愛される自分になればいい。そうすれば一人なんかじゃないんだ。』
エネルギーが必要かもしれない。途中で息切れするかもしれない。最悪、失敗してしまうかもしれない。

でも、もしかしたら成功するかもしれない
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