☆三つ星☆
でもね、と早苗は続ける。

「その年のクリスマスイブにね、交通事故で死んじゃったんだ。父も母も。私の目の前で。目の前だよ?あまりにもショックでショックで。しばらく口なんて聞けないし、いっつも泣いてた。もう、それはどれだけ涙が出るんだよってくらいに。お母さん、お父さんって。毎日星を眺めてたんだ。オリオン座を探して。そこにお母さんとお父さんがいる気がしてさ。
でもね、ある日理科の授業で習ったの。オリオン座の三つ星は、並んで近くにいるように見えるけど、実はとても遠く離れてるって。もうそのことがショックでショックで…なんかみんなに裏切られた気がしてさ。そっか。私には誰もいないんだ。一人なんだって思ってた。誰にも頼らないし、頼っちゃいけないってね。一人で生きる強さを身につけなきゃいけないって。」
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