☆三つ星☆

キンモクセイ

ぼーっとしているうちに目的のバス停に到着する。

運賃を支払い、バスを降りる。

金木犀の香りがする。

秋がきていることを実感する。

そう言えば、東京ではこの香りをあまり嗅いだことがない気がする。

頬が緩む。「ただいま。」と心の中で呟く。

『おかえり。早苗。』

ママが優しく微笑みかける。

『今日はね、お歌を覚えたの。』

早苗は自慢げにママに言う。

『そう。良かったわね。どんなお歌なの?』

ママが屈みながら早苗の頭を撫でる。

『えーとね、一年間の月を歌った曲だよ。』

と言いながら、その曲を口ずさむ。

『今月はね、秋だから栗を食べるのだ♪』

えへへと笑いながら早苗はママに話す。

『じゃあ、今日は栗ご飯にしようかしらね。』

ママはにっこり笑う。

『本当?やったね♪』
< 21 / 114 >

この作品をシェア

pagetop