☆三つ星☆

悲しみは闇より深く…

「保険証もった?」

叔母が問いかける。

「うん。持ったよ。財布もポケベルもあるし。」

早苗はそう言いながら、髪の毛を櫛で梳く。

「気をつけて行ってくるのよ。佐藤先生に粗相のないようにね。あっ!そうそう。帰りに松茸を買ってきてちょうだい。スーパーで安いみたいだから。」

はて?今日は何かのお祝いだったのだろうかと考える。

「お父さんが食べたいんだって。」

叔母さんは、叔父さんのことをお父さんと呼んでいる。

なるほど。そう言えば給料日明けだ。

「分かった。じゃあ、帰りに寄ってくるね。」

早苗は「はいはい」と言いながら靴を履く。

「じゃあ、行ってきます。」

「いってらっしゃい。気をつけるのよ。」

やはり叔母は心配性である。

そんなに私は頼りないのだろうか。と早苗は思う。
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