☆三つ星☆
「遠藤さんー、遠藤一貴さんー。一番診察室にお入りください。」


看護婦が順番に名前を呼びかける。
特にやることもない早苗は持ってきたＭＤプレーヤーを取り出し音楽を聴く。

いつも聴くあのアーティストだ。

コンビニで買ったファッション誌に眺める。

「クリスマスまでに彼氏を！モテカワコレクション」
と、大々的に冬物の特集が組まれている。

クリスマスかぁ。今年はどう過ごすんだろう。

去年は佐藤先生と丸の内にあるイルミネーションを見に行った。

夜だと言うのに昼間のように明るく、テレビや雑誌なんかでも特集され、一度見てみたいと言った早苗のワガママに佐藤先生が付き合ってくれたんだった。

もっとも人混みが苦手な早苗は、東京駅から連なる人の列に目眩を覚えたのだが。
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