☆三つ星☆
優しそうな笑みの奥底には寂しそうな瞳があった。

付き合いが長いから、分かってしまうのだ。

「体調はどう?ちょっと上着をめくってくれるかな?」

聴診器を取り出しながら、早苗と面と向き合う。

「はい。」

と言いながら、早苗は少し躊躇する。

早苗も年頃の女の子なのだ。

男性に肌を見せるのは抵抗がないわけではない。

それでも、そんなことを思っても仕方がないので、上着をたくし上げる。

聴診器が胸元やお腹を滑る。

早苗の頬は、ほんのり紅に染まる。

「はい。反対側向けて。」

言われるがままに、くるっと反対側を向く。

ほっとため息をつく。
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