☆三つ星☆
しばらく見つめ合う。

すると、テディベアは、手のひらをポンと打ち何かに納得したかのように、おもむろに近づいてくる。

ギョッとした早苗は、仰け反り逃げようとするが、気付いたのが遅かったのか、笑いすぎて力が出なかったのかテディベアに手をとられた。

テディベアは、どうやら早苗をどこかに連れて行こうとしているらしかった。

どこに連れて行かれるか分かったものじゃなかったが、不思議と不安はなかった。

いや、むしろ不安と言うよりは期待の気持ちが大きかったのだと思う。

このまま夢でも、どこまででも連れ去って欲しいような衝動に駆られた。

この時の早苗の笑顔は、今までの20年間の彼女の人生で一番に笑っていたに違いなかった。

なぜだろう…と考えた。
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