☆三つ星☆
枕の隣りにおいておいたテディベアのぬいぐるみを手に取りギュッと抱きしめる。

「国破れて山河あり」

大昔、中国の詩人が歌ったものだ。

時間の経過とともに変わるものもあれば、

まるで永遠かのように変わらないものもある。

私にとって変わったのは…と考えながら、

再びテディベアのぬいぐるみを強く抱きしめる。

大きくため息をつく。

いくら考えても事実は変わらないのだ。

クリスマスイブのあの日、

サンタはテディベアのぬいぐるみと引き替えに、私の母と父を奪った。

今日は、その父と母のお墓参りのために久しぶりに山梨のあの町に戻る。
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