☆三つ星☆
言われて、早苗ははっとした。
確かに佐藤先生に対して言った言葉のはずなのに、その言葉は、まるで早苗自身に投げかけられたように思ったからだ。

「大切なのは、過去じゃないと思うの。今、これからをどう生きるか。どう生きたいと思うか。どうありたいと思うかなんだと思う。」
だって、どんなに頑張っても過去は変えられないでしょ?と村松は微笑む。

確かにそうだと思う。早苗も頭では理解出来た。でも…

「本当の幸せが何かだなんて私には分かりません。今どう生きたいかも分からないし、ましてや、これから未来どう生きていきたいかだなんて、もっと分からない。」
早苗は縋るような想いで声を出した。
< 96 / 114 >

この作品をシェア

pagetop