恋は偶然?それとも必然?
拓実side
日曜の昼過ぎといえば、駅前はたくさんの人でごった返している。
よりによってそんな一番人の多い時間帯にナンパをするなんて、
俺たちもよくやるなと思う。
まず暑いし、だるいし、第一、人の顔なんて分かんねぇだろ。
それでも現に俺はこうやって、目の前を通り過ぎる人の顔を真剣に眺めている。
俺の名前は益岡拓実。
なんとか落第せずにすみ、今は大学2年。
「なぁなぁ。
今日可愛い子いなくね?
いてもほとんど彼氏持ちだし。
今日ダメな日かよ〜」
隣で独り言のように喋っているのは、荒城真太郎。
大学で知り合った俺のナンパ仲間。
大学に入ってすぐ、いきなり俺はこいつに
「一緒にナンパ行かねぇ?」
って声をかけられた。
あの時の驚きは今でも覚えてる。
まぁそんなこんなで俺たちは、今もこうやって二人でナンパ中。
「まぁ確かに今日はピンとくる子いねぇな…」
「拓実の場合は、今日だけじゃねーだろ?」
「まぁ、な…」