+†ヴァンパイアと紅いアザ†+
……え?
どんっっだけファンタジーな世界に、私は迷い込んできたんですか。
貴方は吸血鬼で、此処は魔界?
信じれるわけ……ない……。
「何故っ、魔界が連れてきた」
「っ!?」
声にならない叫び声をあげて、とても十代の乙女とは思えないくらいに歪んだ私の顔。
色気もムードもぶち壊しだろう。
……えーっと、それどころじゃなかった。
リュオさんが、私を、魔界に?
「理由は……なんですか?」
私の質問に、リュオさんは身を起こした。
そのおかげで首筋に触れていた牙の感触がなくなり、かわりにリュオさんの紅い瞳が私を真っ直ぐ貫く。
「お前が死にかけていたからだ」
私が……?
死にかけた?
そうだ。
雪が降るなか捨てられて、あのまま寝てたらいつか死んでたであろう身だ、私は。
でも
死にかけていたなら、見捨てればよかった。
あのまま、死んでもよかった。
生きてても、意味が無いんだ。
涙が1つだけ落ちたが、気にしない。
「……泣くな。」
リュオさんが静かに撫でて拭ってくれた。
あまりにも優しい手つきに、ボーッとなる。
「リュオさん、私の命の…恩人?」
「なぜ疑問系になる? お前を拾ったのは俺だ」
私は、リュオさんに、拾われたの?
もしかしたら凍死するはずだった私を、救ってくれたリュオさん。
でも、なんで……?
真意が掴めない。