+†ヴァンパイアと紅いアザ†+
戸惑い
ガチャ――。
突然、部屋のドアが開いた。
その人の綺麗な銀髪が風に揺れている。
「リュオ――――さん……」
リュオさんは、レオンを見て一瞬眉をよせたが、
また、いつもの冷たい表情に戻った。
「レオン……」
「リュオ……」
2人は睨み合っている。
知り合い……だったっけ?
私達3人に、沈黙が流れる。
__スタ……スタスタ__
リュオさんの足音が近づいてくる。
そして私の前で、その足音は止まった。
「リュオさ……」
「何故……何故お前が此処にいる……?」
私は、いきなり言葉を遮られてビクッと震えた。
ゆっくり上を向いて、リュオさんの顔を見た。
だがリュオさんは、私は眼中にないようで、ずっとレオンと睨み合っている。
「リュオ……」
レオンは気持ちを押し殺したような声で、リュオさんの名前を呼んだ。
「レオン……」
リュオさんは、怒りとも悲しみとも思える瞳でレオンを見つめる。
レオンは私の後ろに居るので、表情がみえない。
バンッ――。
レオンはいきなり、私とリュオさんの間に立った。
「リュオ! 儂は、儂は貴様を許さぬ!」
レオンの怒声が響いた。
その声には怒りや憎しみ、だけど、リュオさんと同じ、深い悲しみがこもっていた。
チラチラ見えるリュオさんの表情は、深い悲しみの色で染まっていた。