+†ヴァンパイアと紅いアザ†+
「し、ぐれ……時雨をよくも……!」
レオンは悔しそうに俯く。
というかなぜ、時雨の名を……?
“時雨”とは、私の死んでしまったお兄ちゃんの名前だ。
私のお兄ちゃんの事をレオンは、さっき知ったばかりの筈なのに……。
しかも、名前は知らないはず。
「すまない……ッ」
リュオさんはまだ、深い悲しみの表情を浮かべている。
こんな、レオンとリュオさん……見たことが無い。
「時雨……私の兄を、知っているの?」
ポツリと私が呟く。
「「知っているさ」」
レオンとリュオさんは、声を揃えて言った。