+†ヴァンパイアと紅いアザ†+
「スー、スー」
静かな寝息をたてる水樹。
俺は、水樹の顔にかかった前髪をそっと撫でた。
魅花と俺とシャオラン……そしてリュオは、親の関係で小さい頃から仲が良かった。
貴族のリュオと、皇家の魅花。
普通の魔属だったシャオランと俺は、
成長するにつれて魅花とリュオが遠いと感じるようになった。
だけど、いつも魅花の優しい笑顔でそんなちっぽけな考えは掻き消された。
「魅花……ッ」
リュオが後で力なく座り込み、呟く。
お前も、昔を思い出すのか。
本当はリュオが、悪いわけじゃない。
只の俺の八つ当りだ。
時雨を守れなかった、俺の。
――――――八つ当りだ。
違うとわかっていたのに、
リュオのせいにして、喧嘩までするなんて……情けない俺。