+†ヴァンパイアと紅いアザ†+
その時、凄い衝撃と共に、色んな記憶が流れ込んできた。
小さい頃、怖い夢をみて泣いてる私の頭をいつも優しく撫でてくれる女の人、
そして、その女の人に向かって笑う私。
誰――――?
【その女の人の名は、魅花だよ】
魅花?
魅花とは、貴方の名前でしょ?
【そう、私は魅花。そして貴方の本当の母】
本当の?
お母さん……?
【そう】
でも、貴方の声も、姿も、何も……思い出せない。
【それは水樹の中の、私との記憶をレオンとリュオが消したから。時雨が死んだ日に】
兄さん……?
【真実を、知りなさい】
また、凄い衝撃が私を襲った。
瞼を開けると、
真っ暗だったはずの世界は、まさに兄さんが殺された時の場面になった。
呆然と立ちすくみながら涙を流す幼い私。
そこに、銀髪の男の人が入ってきた。
リュオさん?
リュオさんらしき人には、漆黒の翼が生えていた。
『水樹……ッ』
紅い瞳を震わせるリュオさんの後ろから、レオンらしき人物が入ってきた。
今は長い白銀の髪の毛は、真っ黒の短い髪の毛だった。
『時雨ッッ!』
レオンは真っ白の灰を、涙を流しながら見つめていた。