+†ヴァンパイアと紅いアザ†+
『水樹……?』
心配そうに私を見つめるリュオさん。
「アザ……薔薇の……皇家が……」
幼い私は泣きながらリュオさんに抱きついた。
リュオさんは、暫く黙って私を抱きしめていてくれたが、決心したように言い始めた。
『俺達との記憶を消そう』
――――え?
『本気なのか!? 俺達との記憶を消すって事は、魅花のことを水樹に忘れさせるという事だぞ!?』
レオンの涙が怒りで弾け飛ぶ。
『考えろ。俺達と一緒に居ると、水樹の覚醒が早くなる。』
『…………』
レオンは俯いてしまった。
『幼くて力なの無い今の水樹が覚醒したら、簡単に殺される』
『でもっ、母親の事を忘れろなんて……酷い事を出来るわけ……』
『水樹が成長したら、また、記憶を戻してやる』
そう言った後、一度リュオさんは幼い私に笑顔を見せた。
そしてまた真剣な顔に戻ると、レオンをじっと見つめた。
『……わかったよ』
レオンは俯きながらポツリと呟いた。