白露降る
最近はずっとこんな感じだった。
一緒にいても、達也はケータイをいじるか、電話をすることが多かった。
いつからそうなったのか、そんなのわからない。
少しずつ変わっていたのかもしれないけれど、私は気付かなかった。
気づいたら、こうだったのだ。
私はこうも鈍感だったのかと、自分自身を鼻で笑ってやった。
助手席に座っても、車内に流れる軽快なBGMに、心は弾まない。
煙草をふかしながら、気だるげに運転する達也を横目で見る。
煙草は嫌いだ。
嫌う私のために一緒にいる時だけじゃなく、部屋や車、私が訪れる場所で吸わないようにしてくれていた。
でも今は、お構いなしだ。
開け放った窓の外に、煙を吐いてくれるのが唯一の救いだった。
会う時間も減っている。
付き合って1年までもう少し。
恋人が終わるまで秒読みでは、そこまでもつかはギリギリだろう。
窓から流れ込む心地いい風が、私の心を軽くした。