白露降る
 コップを回す。

 氷と液体がぐるぐる回る。


 周りが笑う。

 つられて笑う。


 愛想笑いをしている自分に嫌気がさして、妙に寂しくなる。

 楽しむ下で、寂しさとかが縮こまっていた。

 前は、こんな気持ちになった時は、達也にメールをしていた。

 そして、返信を見て落ち着いていた。

 今は送っても、返信が来るかどうか怪しい。

 それ以前に、達也に頼ろうという思いを抱いてはいなかった。


「ねぇねぇ、沙織」


 友人の一人が、私を見ていた。

 コップを回していた手を止める。


「もうすぐ1年でしょ?なにか考えてんの?」


 友人の一言で、話の中心が私に移る。

 口角が固まった。


 考える必要性を考えていなかった。
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