幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?
「そんな怒るなよ……」
むくれてそっぽを向くあたしの方へとゆっくり歩いてきながら、耀太がため息をこぼす。
あたしだって、自分がなんでこんなにムカつくのか、正直あんまりわかってないし。
ただ、あたしと耀太の間にはかなりの温度差があって、それが気に食わないんだもん。
あたしばっかり………って思ってしまう。
「ハア……正直に言うよ……。
さっきはメシって言ったけど、俺もあの居心地のいい場所をこんな理由で失うのがイヤだったんだ……」
いきなりくしゃっと髪を撫でられて、視線を耀太に戻すと、それは意外にもかなり近距離まで迫っていた。
「………えっ…?」
「大学の時は時間帯がなかなか合わなくて行けなかったけど、それでも俺にとっては、楓の家はオアシスみたいなもんなんだ……」
「耀太………?」
「だから、ありがとな?
今まで通りでいいって言ってくれて」
あたしの後ろに立つ街灯にわずかに照らされてる耀太の顔は、びっくりするぐらい恥ずかしそうな照れ笑いを浮かべている。
もしかして、これを言うためにあたしを連れ出したの………?
なんだか無性に可愛く見えてきて、あたしは精一杯背伸びをして、耀太の頭を撫で返してあげた。
「うん、いつでも来ていいよ」
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