幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?





かなり小憎らしい奴だけど、こんな可愛い顔も出来るんじゃん……






あたしがワックスでちょっと硬くなってる耀太の髪を目を細めて撫でていると、それまで俯き加減だった耀太の口から小さな舌打ちが聞こえたと思った途端、





「生意気〜〜〜!!」





と、いきなり自分の体がふわりと宙に浮いた。





「きゃああ……!」





「いつまで人の頭こねくり回してんだよ!
俺の頭を撫でるなんて、楓には百万年早いっつうの」






腰の辺りで組まれた手が、ぐいぐいあたしの体を締め付ける。
目線がほとんど同じになった耀太の顔は、かなりのしかめっ面だ。





っていうか、またまた近いってば〜〜〜!!!







「わかったから、おろしてよっ……!」






「いててて……」






行き場のなくなった手で耀太の顔をぐいっと押すと、ようやく足が地面に着地した。






「いきなり何すんのよバカ!!!
変態教師!!!」





バクバクバク…-――






目の前にある胸をポカポカ叩きながら、あたしの胸はまたもや超高速の民族音楽並のリズムを奏でていた。






今日だけで、あたしの心臓、1年分の働きしてんじゃないかってぐらい。






「いてっ、いてて……
もうしねぇよ…わかったから…叩くのやめろ……」






両手首をがっしり掴まれた状態で、あたしは耀太をキッと睨み上げた。






「今度したら、学校で耀太はヅラだってデマ流すかんね!」





「はいはい……。
元はといえば、先に楓が仕掛けたんだからな……」






一瞬苦笑いを浮かべた耀太は、またくるりと踵を返して歩いて行く。
その背中を見つめがら、あたしは大きく深呼吸をした。



働きすぎの自分の心臓をいたわってあげなきゃ、早死にしちゃうよ。







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