幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?





『“進路希望”って書いてあるけど、無理して明確なものを書く必要はないから。
自分が持ってる夢を書いてくれていい。
今度の二者面談では、その夢を叶えるための過程を、一緒に考えようと思ってる』






耀太がこの前のHRでプリントを配りながら皆に伝えたという言葉。






あたしは昨日聞いたんだけど……





はっきり言って驚いた。
普通、3年生に向かって言う言葉じゃなくない?
学年主任兼進路指導係のブルが聞いたら、『今頃そんなこと言っててどうするんだ!!』ってマジギレしそうな発言だよ。






でもさ、“自分の将来なんだから、焦らずしっかり考えろ”って言われた気がして、なんだかちょっぴり嬉しかった。






『で、楓の夢ってなに?』




『………ええっとぉ…』







そんな会話を思い出しなから、あたしは静かに瑞穂が口を開くのを待った。






目の前の瑞穂は言葉を選んでるかのように、あたしの顔をじっと見つめている。




やがて、その口がわずかに動いた………






「ようちゃんが言ったことをそのまま親に伝えたらさ、『なんてバカみたいなこと言う先生なの。今後もそんな甘ったれたこと言うようら、学校に訴えるから』って言われちゃって、書くに書けなくて…」






いい先生なのにね、と呟いた瑞穂は、首をすくめてまた小さくため息をこぼした。






きっと瑞穂はあたしに気を遣って言わなかったんだんだろうけど、
最近の親子喧嘩の原因は、そこにもあるんだと思う。







話を聞いたあたしは、ああやっぱりね、と思ってしまった。






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