幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?
「じゃあ、会いに行くか……?」
思いがけない言葉に、あたしは慌てて顔を上げて俯いたままの耀太に問い掛けた。
「………えっ…、なんて?」
「明後日の土曜日、2人で一緒にカンタに会いに行こう?
受験生にも、たまには息抜きも必要だろ?」
「いいの?あたしも行っていいの?」
若宮先生は……いいの?
「俺もカンタに会いたいし。たまにはそういうのもいいんじゃねぇの……?」
言いながら、写真のカンタを愛おしそうに見つめていた耀太の瞳が、そのままあたしに向けられたのが嬉しくて。
「行きたい!連れてって!」
思わず腕にしがみついてしまった。
我ながらゲンキンだとは思うけど、この際、若宮先生のことは忘れようと思った。
カンタに久々に会える!
それだけで、胸のつかえが軽くなった気さえする。
「決まりだな。せっかくだし、カンタを連れて少し遠出してみるか?」
「うんっ!」
勢いよく首を縦に振るあたしを見て、優しい笑みを浮かべた耀太のポケットから、ふいにケータイの着メロが鳴り響いた。
「ちょっとごめん、電話だ……
もしもし…?」
ケータイを耳に当てすっと背中を向ける耀太。
もしかして…若宮、先生……?
それを見て、あたしの中に、またあのドロドロした感情が甦ってくる。
でもわずかに漏れ聞こえてきた声は、明るい声でもなく、ハスキーな声でもなく、低い男の声だった。
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