幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?





そんなことにさえ神経を尖らせて、心なしかほっとしている自分。





まだ、肝心なことはなに一つ聞けてないのに。






でも今その答えを聞くと、明後日の予定さえなくなってしまう気がして……





気になるけど、聞きたくない。
複雑な気持ちで広い背中をぼんやり見てると、電話中の耀太が急に焦ったような声を出した。






「えっ、今から!?……うん……うん、……まあお前の気持ちもわかるけど……
わかったよ……、じゃあ、あとでな?……ああ、はいはい」






そこでケータイを切った耀太は、心底疲れたようなため息を吐き出した。




話からして、誰かに呼び出されたっぽい。





あたしが無言でその背中を見つめていると、やれやれといった感じでこっちを向いた。






「ちょっと今から出掛けることになったから帰るな。
土曜日は、朝から迎えに来るから。そのぶん、明日予備校でしっかり勉強しとけよ」






そして教師らしいことを言いながらあたしの頭をくしゃっと撫でると、そのまま部屋から出て行こうとする。






そんな、待ってよ……!






「耀太……!」






「ん?」






「あの……その……うぅ……」






慌てて呼び止めたくせに、若宮先生という言葉がどうしても自分の口から出てこない。
しばらくキョトンとそんなあたしを見てた耀太だけど、何かを悟ったのか、ああ、という顔をした。





「大事なこと言い忘れてた。
俺と若宮先生の間には、同僚以上の気持ちはないから。
詳しい話は今度するけど、楓にだけは誤解されたままじゃイヤだし……
それだけ。じゃあ、明日な」






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