幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?
待ちに待った土曜日。
梅雨の合間の晴れ、といわんばかりの天気に心が躍る。
まっだかなぁ………?
玄関前でうろうろしていると、突然外からクラクションが鳴って、
「いってきます!」
と、結構な大荷物を抱えてあたしは外へと飛び出した。
すぐに視界に入ってくる見慣れた耀太の黒い車。
重い荷物もなんのその、階段を軽やかに下りて助手席の窓から中を覗くと、ちょうど身を乗り出そうとしていた耀太と危うく“ごっつんこ”しかけた。
「はやっ!」
「ま、まあね……」
照れ臭ささから、急いで視線を後部座席に向ける。
と、そこには……
「ワン!」
「うわっ!カンタ!?」
今から迎えに行くと思ってたカンタが、ゲージの中から一生懸命鼻先を出してこっちを見てるから驚いた。
「ははっ、朝から先に叔母さんとこにいってきた。とりあえず乗れよ。
楓は、助手席?それとも後ろ?」
「もちろん、後ろ!」
カンタに触れたいって理由もあるけど、助手席に乗って誰かに見られでもしたら、大変だしね。
あたしがゲージの隣に乗り込むと、カンタは尻尾をちぎれんばかりに振って歓迎してくれている。
「へぇぇ、いっちょまえに楓のこと覚えてるんだな……?
そんじゃ、揃ったところで、出発しますか」
「うん」
こうして、カンタとあたしと耀太と、久しぶりの三兄弟水入らずのドライブが静かに(?)始まった。
´