幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?
大学2年の終わり頃、耀太のバイト先に新しい人が入ってきた。
名前は倉田 祥司。
よくよく聞けば、同じ大学同じ学部の同級生だと言う。
学科が違うから専門分野も違うけど、同じように夢見て大学に入学した2人は、すぐに意気投合した。
仲良くなった倉田さんは、3年に上がって耀太が一人暮らしを始めたアパートにもちょくちょく遊びに来るようになった。
その時、2回ほど倉田さんは彼女を連れて来た。
後々わかったことだけど、それが若宮先生だったらしい。
でもさすがに3年にもなると、だんだん研究室に篭りっ放しの状態が続くようになった耀太達は、各々バイト先をもっとシフトが少ないとこへと変えていった。
「それから、あんまり祥司に会わなくなってさ……
たまに電話で話したりとか、偶然大学で会うぐらいになったんだ」
空を見上げてしゃべっていた耀太は、そこで一旦言葉を切って、向こうの木陰で寝ているカンタへと視線を走らせた。
あたしもつられて後を追う。
無防備な姿で寝ているカンタの口に、またもやヨダレを発見して、あたしはこっそり苦笑した。
『黙って聞け』と言われたからには、ふとした疑問も口にはできない状態で。
さっきから何度も口を開きかけては、その度にもどかしい気持ちになりつつ、あたしは口元を手で覆って我慢していた。
「で、知っての通り、俺は院へは進まず、教員になったんだけど……
倉田はそのまま院生になったんだ」
隣で仰向けに寝ている耀太が続きを話しはじめたから、あたしはまた視線を元に戻し、同じように芝生に転がって空を見上げながら耳を傾けた。
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