幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?





緊張からか、あたしの喉がゴクリと音を立てる。





「生徒の間でさ、すっげえ噂になってたんだろ?
俺と若宮先生が……その…」



「同棲してるって?」



「そう、それ。もちろん嘘だかんな!」





あたしの言葉にガバッと顔を上げた耀太は、眉根を寄せて力説した。





「わかってるって。
もし同棲してるなら、お弁当なんて作んないって」



「だよな……うん。
で、その噂を聞き付けた副校長にさ、呼び出されたんだよ、俺達」



「副校長に!?」





よりによって、アイツにかよ……!?





驚きを隠せないあたしの頭の中に、万年オールドミスの副校長の顔が浮かぶ。
真っ黒の髪をビシッと結わえ、神経質そうな眼鏡をかけた彼女は、噂では20回はお見合いに失敗しているらしい。





そんな副校長の口癖、
『恋愛は大人になってからでも十分できますから、学生は学生らしく、勉学に時間を費やしなさい!』





嘘ばっかり。
自分、してないでしょ?恋愛。
それって明らかに、ひがみじゃん、みたいな。






「大丈夫、だった……?」





そのひがみは、きっと新任教師にも容赦なく炸裂しただろう。
そう思うと、あらぬ噂を立てられた耀太達が気の毒に思えて、気づけばそんな言葉を掛けていた。





するとまた顔を上げた耀太は、





「まあな、この歳であんなに説教されるとは思わなかったけど……」





と呟いて、力なく笑っている。





どうやら、相当“ひがみババァ”に攻撃されたらしい。







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