幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?
我ながらお人よしだと思う。
多分瑞穂が聞いたら、頭から湯気を吹きだして怒ってることだろう。
でもさ、なんていうか、先生も可哀相な人なんだよ、きっと。
大好きな彼氏とは気持ちの足並みが揃わないし、惹かれたくないのに、耀太への気持ちが募ってしまう、みたいな……
その上、“ひがみババァ”にキツいお灸据えられて。
バカだとは思うけど、少しだけ同情してしまう自分が居た。
「若宮先生は自分のせいだって、相当落ち込んでた。
だから後から改めて俺の所に謝りにきたんだ。
楓や、他の生徒に誤解されるような態度を取って申し訳ないって」
「へっ!?あたし??」
「あっ、いやっ、彼女は知ってるからよ、俺達が幼馴染みだって……」
少し慌てた風の耀太は、そう一気に捲し立てると、カンタの背中をワシワシ撫でた。
カンタはちょっと、迷惑そう。
あたしはそれを聞いて、ああ…そうか、と思った。
若宮先生は、ウチの親と耀太の親がツーツーの仲だってこともきっと知ってるんだ。
だから泣いて謝った。
息子がやっと就職したと思ったら3ヶ月で問題起こしちゃった、なんて知ったら、どんな親だろうと悲しむもんね。
耀太がなかなか話したがらなかったのも、その理由からなんだよね。
あっ、でも、ウチの母親は腹抱えて爆笑しそうだけど……
「とにかくさ、若宮先生がウチに来て泣いたのは、そういう事情があったからだかんな?
ヘンな妄想はすんなよ。
この前も言ったけど、俺達の間には、同僚以上の気持ちはない。
ましてやツレの彼女なんて、俺にしてみりゃ問題外だ」
「でも若宮先生は……」
「しつこいぞ、楓。
そんなに疑うんなら、今ここで祥司達に電話かけてやろうか?
多分、お邪魔だと思うけど……」
「どういうこと?」
「アイツ、今日彼女にプロポーズするって言ってたからな……」
「…………」
プ、プ、プロポーズ!?!
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