幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?





「クラスとお名前教えていただける?
あ、ごめんなさい、下のお名前しか知らなくて…」



「お名前、ですか…」





決して“名前”とは言わないところがまた先生らしいと、あたしがクスクス笑っていると、一瞬キョトンとなる先生。
しかたないから、今のは気にしないで下さい、と慌てて付け加えた。
それから、ペンを握って待ち構えてる先生に、あたしは病状まで一気に説明した。





「生理痛のお薬飲んで、ベッドに横になる?それとも……」



「いえ、今の時間だけ、ここでこうしてゆっくりさせて下さい」





それは暗に、先生とあたしもゆっくり話したい、という願望を含んでいたのだけれど。





その思いが伝わったのか、白雪姫は満足そうににっこり微笑んで頷いている。
そしておもむろに開いたその可愛い口から、表現にはあまりそぐわない単語を紡ぎだした。





「そう?じゃあ、せっかくだから、生ぬるいココアはいかが?」





………はっ?? 生…ぬるい……!?





まさかとは思い、もう一度確認してみる。





「ええっとぉ、何ココアでしたっけ?」



「クスッ、生ぬるい、ココアよ?
この時期熱いのは飲みたくないし、かといって冷たいのはお腹が冷えるでしょう?
生ぬるい、がちょうどいいと思うの」





それを言うなら、人肌とか他に言いようがあるんじゃないですか?なんて思いつつあたしが頷くと、白雪姫は真っ白なドレス、じゃなくて、白衣を翻しながら、スキップしそうな勢いで、給湯器の方へと歩いて行った。





その様子に苦笑しながら、耀太が万が一でもこの女性に惹かれなかった理由が、なんとなく理解できた気がした。







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