幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?
先生お勧めの“生ぬるい”ココアは、生理痛でしくしくお腹と腰が痛むあたしにも、優しいホッとするひと時を与えてくれた。
「ありがとうございました。美味しかったです」
「おかわりはい〜い?」
「はい、次はお昼なので………
あの、お礼と言ってはなんですが、コレ……」
すっかりその存在を忘れていたメモ用紙を、これまたすっかり渡す理由をすり替えて、先生の前に差し出す。
それはあらかじめ“婚約祝い”を意識して、小学生の頃を思い出しながらハート型に折り込んでいた。
「………なにかしら…?」
その折り方を懐かしむような、それでいて不思議そうな顔をする先生に、あたしが、一応婚約祝いです、と告げると、その顔がボボボッと一気に染まった。
「あのっあのっ、楓さんは…その辺の事情は知ってるのかしら?」
「プッ…、すみません。耀太に…じゃなくて、石橋先生に聞いてしまいました」
「……そ、そうなの…、恥ばかりさらして、こちらこそごめんなさいね……」
なんとも微笑ましい先生の様子にクスクス笑っているあたしの前で、ハート型のメモ用紙を若干もどかしい手つきで開く先生の左手には、キラリと光るリングが見え隠れしている。
それは同時に、2人の婚約が無事に済んだことを意味していた。
いけないとは思いつつ、ラブラブな様子が脳裏に浮かんで、思わず顔がニヤけてしまう。
「改めておめでとうございます」
「あ、ありがとうございます」
やがてメモ用紙を開ききった先生は、その顔を再びほころばせた。
「楓さん、ホントにありがとう!
来月の彼の誕生日に、コレを作ってあげたかったの」
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