幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?





………かと思いきや、




『えぇ〜!!そうなの?羨ましいわ〜。
千夏はそういうの、まだまだみたいなのよ。
こうなったら、ある程度の歳まで千夏が結婚できなかったら、祥ちゃんにはあの約束を守ってもらうわよ?』



と、こちらも冗談めかして笑い話にしたのだ。




約束………?




ぐっさり傷つきながらも、懸命に平気なフリをして、千夏は母に尋ねた。




『約束ってなに?』



『今だから教えちゃうけど、あなた達を妊娠した時、お互い冗談半分でした約束のことよ。
それぞれ男と女だったら、将来結婚させようって。
でも残念ね?祥ちゃんイケメンだから、引く手あまたみたい。
千夏も別口探さなきゃね……』




それを聞いて、千夏はさらに深く傷つき、落ち込んだ。
祥司に彼女が出来たこともショックだったし、実は生まれる前から勝手に決められていた仲だったということも、ショックだった。




やがて彼女は、このまま祥司を想い続けていては自分だけがみじめになると思い、かねがね好意を寄せてくれていた同級生と付き合い始めた……―――









「それがね、またいけなかったのよ……」



「どういうことですか?」





あたしの問いかけに、少しつらそうに微笑んだ若宮先生は、憂い溢れるため息を吐きだした。




「どうやっても自分は祥ちゃんが好きなんだって、痛感させられたの。
なにかにつけて、祥ちゃんと彼を比べてしまうのよね。
声とか、仕草とか、骨格とか……
その頃にはほとんど会ってなかったくせに、祥ちゃんのすべてを覚えてるあたしが居たの。
可笑しいでしょう?
その彼にもヒドいことをしたと後悔してるわ……」



「ううん、その気持ち、なんとなくわかります。
好きな人と同じ場所を探し出して、それを理由に好きだと思ってみたり、違う場所を見つけては、イヤだと思ってみたり……
結局、その人本人を、好きになるわけじゃないんですよね。
ダメですよね、身代わりなんて……
相手も、自分も、傷つく選択だと思います」







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