幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?
そんな耀太にもどかしさを感じたのは、どうやらあたしだけじゃないようで。
バタバタと裾の広がった学ランのズボンを翻しながら、トラックを横切って走って行く青のハチマキが1人。
その人は、耀太に駆け寄るなり、その頭をパシンと叩いた。
おっ!?って顔でひるむ耀太。
この教師をものともしない態度の人物こそ、我が青団団長 桐島 宏樹、その人で。
二言三言なにか耀太に告げてから、無理矢理その頭に今度はハチマキを巻いている。
ちょうどこちらを向いたヒロキの短ランの背中には、見事なまでの毘沙門天の刺繍が入っていて。
端から見れば、まるで耀太は生粋のヤンキーに“いちゃもん”を付けられてる新任教師のように見えた。
「ちょっとようちゃん、ヒロキにめっちゃ怒られてるじゃん!
マジでウケる〜〜〜!!」
瑞穂の大爆笑が、さらにその2人の様子を際立たせたのは間違いない。
「なにやってんの?あの2人……」
「コントでもしてんじゃないの〜?
マジでウケるんですけどぉ」
今や何度もヒロキに肩を小突かれつつ入場門へと向かう耀太の姿に、
一瞬にして、スタンド中が爆笑の渦に包まれてしまった。
教師のくせに、情けないにも程がある。
青くなっていたあたしの顔は、もはやスーパーの特売コーナーに鎮座する、真っ赤なリンゴみたいになっていた。
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