幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?




スタートラインにそれぞれ並ぶ4色のハチマキ男子。




…………おや?





よく見ると、青のハチマキは、見知った顔の3年生だった。




違うクラスといえども、同じ学校なんだからそれは当たり前なことなんだけれど。
ただ彼とは、ちょっといわく付きというか、なんというか……




「楓、アレ、あのイガグリ君じゃないの?」


「う、うん……。みたい、だね……ははは…」




同じようにそのことに気づいた瑞穂が、こっそり耳打ちしてきたのを、あたしは苦笑いで返す。



 
通称 イガグリ君は………



実は、夏休み前に、こんなあたしに告白してくれた、なんとも物好きな人なわけで。




7月頭まで、バリバリの野球部だった彼は、『部活を引退したら言おうと決めていた』という前置き付きで、まだザックリ坊主な頭をポリポリ掻きながら、恥ずかしそうにあたしに言った。




『俺と付き合って下さい』




もちろん、そこは丁重にお断りさせていただいたけども。




あれから2ヵ月経った彼は、人並みに髪が伸びてて、少々……ううん、いい具合にカッコいい、かもしれない。




「アンタ、今惜しいことしたなって、ちょっと思ってるでしょ!?」




ギクリ---




瑞穂の勘の鋭さには、脱帽だ。





「んなわけないじゃん……
あたしは卒業式まで、この秘めたる想いを貫くの」



「いやいや、その顔は怪しいね……
きゃぁ、意外に彼ってカッコいいじゃ〜〜んって思ってるでしょう?」



「カッコいいと、好きじゃ、意味違うから」



「ほらやっぱり〜〜」





なんて小学生みたいな会話をあたし達がしているうちに、トラック内のスターターがピストルを上に構えていた。






ヨオーイ………





パンッッ!!!−−−






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