幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?
そんなあたしの言葉を遮って話しだした耀太は、どこからか見てんじゃないかって思うような驚くべき発言をした。
『お前、今予備校の玄関で途方に暮れてるだろ?』
「なんでわかんの!?」
『そんなの簡単にわかるって。傘ナシ、親ナシ……だろ?』
「……うぐぐ…、悔しいけれど、当てた耀太君には2000点」
素直に『困ってる』が言えないあたし。
でもそんなあたしにも、耀太は優しいんだよね。
『うわっ!?2000点もくれんの?
すっげぇな。サービス問題だったのによ……』
なんて話にノッてくれたりして。
アホと言えば、耀太もアホなんだけど……
だけどね、こんな状況なのに、あたしの胸の中はほっこりあったかいんだ。
スゴイよ、耀太。
アンタにもカンタ並の癒し効果があったんだから………
「んで、どうしたの?なんかあった?」
こんな時間に耀太が電話をかけてくるとか珍しくて、それでも素直じゃないあたしはついつい追及口調になってしまう。
『あと5分待ってろ』
「はっ??なにそれ……
高級カップラーメンの作り方講座?」
『そうそう、最近のヤツは金も手間もかかってよ………
って、違〜う!
俺が迎えに行くから、待ってろってこと』
「…………」
あたしは、とうとう耳までおかしくなったのかと思った。
だって、どう考えてもダメでしょ。
ここに耀太が来ちゃったら、明日間違いなく久しぶりの副校長呼び出しだよ?
ううん、それより今回はもっと厳しいかも。
生徒と教師がプレイベートで会ってるなんてバレたら、噂が噂を呼んで、謹慎!?クビ!?
「な、なに冗談言って…」
『冗談じゃねぇっつうの。
こんな雨の中帰ったら、お前間違いなく風邪引くぞ。
絶対迎えに行く!!』
耀太にそう宣言されて頭はパニくってるのに、あたしの胸は−−−
きゅんきゅんきゅん……
とどまることを知らないくらい、鳴っていた。
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