幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?





予備校まで迎えに行くと言い張る耀太をなんとか説得して、近くの路地に入ったタバコ屋さんで待ち合わせにしたんだけれど―――





そこまで行くのに、コソコソ。




着いてからも、コソコソ。




ひどく自分が校則違反を犯してる気になる。




多分、そんな校則は元からないと思うけどね。
だって、社会常識でしょ。
生徒と先生なんて。




別に付き合ってるわけじゃないし、元々は幼馴染みなんだから、もっと堂々としてもいい関係だと言われればそうなんだけど。




今の自分の気持ちがめちゃくちゃ不純だから、さ………





タバコの自販機にそっと隠れて待つこと3分、目の前の道路に見慣れた黒の車が横付けされた。




彼氏に迎えにきてもらうのって、こんなに胸がきゅんってするもんなのかな?




なんてこっそり胸をときめかせながらあたしがその車を見ていると、向こう側の運転席から、今日学校で着ていたそのまんまの格好で耀太が現れたから、ビックリした。





「なんちゅう無防備な!?
誰かに見られでもしたら、どうすんの!?」



「学校からそのまま来たから、しょうがねぇだろ?
文句言ってないでさっさと乗れ。中にあるタオル使っていいから」




雨の音に負けないぐらいの大声で、そうまくし立てた耀太は、あたしがここまで乗ってきていた自転車を軽々と持ち上げて、車の後方へと向って行く。





そしてあたしがいつものように、後部座席のドアノブへと手をかけると、




「今日は前でいいだろ。
後ろは自転車のタイヤが当たるかもだぞ!」




なんて脅してくるから、あたしは渋々?でもワクワク?みたいな気持ちで助手席のドアを開けた。




この車になって、あたしにとっては初めての助手席乗車だった。






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