幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?
ちょうど図書館の2階にあたるセミナールームと書かれた空き教室に、ヒロキは躊躇することなくズカズカ入って行く。
後ろに続くあたしはというと、入ったことのない未知の教室にドキドキしつつ、おっかなびっくり足を踏み入れた。
「ここなら、話を聞かれる心配はないだろ……」
あたしに言っているのか、ひとり言なのか、教室の窓辺まで進んだヒロキは、そう言ってくるりと体の向きを変えた。
…………ん??
なんかいつものヒロキっぽくないな………
少し怒ってるような、何か思い詰めてるような、そんな鋭い目つきを傍の机へと向けてるヒロキに、あたしはあることを思い出す。
今年の4月、耀太が初めて5組の教室へと足を踏み入れたあの日、ヒロキが新任教師である耀太に向けて不信感をあらわにした時のことを。
あの時も、同じような目をしてた。
それからしばらくは、ヒロキはなかなか耀太に打ち解けようとはしなかったけど、ちょうど二者面談辺りからかな、少しずつだけど、耀太と話してる姿を見かけるようになって。
そしてあの体育祭でしょ?
あれから急速に2人の仲は良くなったように見えたんだけど………
いやいや、ちょっと待って。
今は耀太は関係ないじゃん。
あたしに話があって、あんな表情してるんだから……ってことは………
げげっ!?あたしに対して何か不満があるとか?
ええっ〜〜!!
そんなの思い当たんないよ〜〜〜!?!
あたしが一人妄想に駆られて焦っていると、いつの間にかすぐ横に移動してきてたヒロキは、その長身の体を机の上に乗せた。
途端に、背の低いあたしと近い目線になるヒロキ。
な、なにっ!?
あたしは思わず、後ずさっていた。
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