幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?
夏休み初日、早速あたし達は買い物に出掛けた。
「今日はね、楓ちゃんの為のお買い物なの」
そう言って、おばさんは婦人服売り場を通り過ぎて5Fの和服売り場まであたしを連れてきた。
「なんであたし?おばさんは服買わないの?」
「今日買うのは楓ちゃんの浴衣よ。おばさん、娘の為に浴衣縫うのが夢だったのよ〜」
前を行くおばさんは、目を輝かせながら既製品の浴衣を眺め始めた。
「まずは出来上がってるのを見てから、反物を選びましょうか…」
和服売り場には、色鮮やかな浴衣コーナーが出来ていて、若い女の人達で賑わっている。
「あたしの為に、縫ってくれるの?」
「楓ちゃんは手作りじゃ、イヤ?」
「ううん、嬉しい!」
あたしはおばさんの腕に飛びついた。
当時唯一持ってた浴衣は、いとこのお古だったから、自分だけの浴衣が凄く嬉しかったのを覚えてる。
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