幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?
「行くぞ」
「えっ、待ってよ……」
がっくり肩を落としているあたしから、自転車を奪ってさっさと歩いて行くヒロキ。
………あり?
周りの視線はチクチク痛いけれど、あたしはその光景にかなりの違和感を覚えて、慌てて横に並んだ。
「ね、ねぇ……!
ヒロキの自転車は?
ってか、どこ行くの!?」
「はっ!?自転車?
なんで俺のがいるわけ?
お前、勉強のし過ぎで頭おかしくなったんじゃねぇの?」
ヒロキはクツクツ笑って視線なんて気にした様子もなく、薄暗い路地へと入って行く。
そこは、この前耀太と待ち合わせた場所で。
と同時に、ヒロキの家の方でもあった。
「家に帰るの?あたしはどうしたら……」
ヒロキが考えてることがさっぱりわからない。
相変わらずヒロキは、キョドるあたしを見て楽しそうに笑うばかり。
やがてあのタバコ屋の前に、エンジンをかけたままの1台の車を見つけた。
一瞬、耀太かとドキッとしたけど全然違った。
それはちょっと古いけれど、大きな車体の四駆で。
あろうことか、ヒロキは自転車を一旦停めて、その車のトランクを開けようとしている。
「へっ!?はっ!?
ちょっとなにやってんの?」
「鍵開いてるから乗れよ。
そうだ、乗る時はスカート注意だぞ。
石橋の車と違って車体が高いから、パンチラする危険があるぜ」
「ほっ!?
ああ、忠告ありがと……
って、違うでしょうが!?
だからこの車はなにっ!
アンタは何者っっ!?」
すっかり積み込まれた自分の自転車を横目で見つつ、あたしはヒロキの腕にしがみついて叫んだ。
これは一体どういう状況なんだ〜〜〜!!!
わかるように説明してくれ〜〜〜!!!
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