幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?





「今日もここでいいのか?」



「うん、ありがと」






あたしが家から少し離れた場所で車を降りるのと同時に、地面に飛び降りたヒロキは、慣れた手つきで自転車を下ろしてくれた。





「今日もありがとう」



「受験まであと少しだし、腹出して風邪ひかないようにな」



「瑞穂じゃないからひかないよ〜だ。
じゃあ、気をつけてね」






バイバイと手を振って自転車を押すあたしの後ろから、ヒロキはバカでかい声で「また明日な〜」と叫んでいる。






これじゃあ近所に丸聞こえだよ、と苦笑しながら、あたしも大きく手を振り返した。








なぜあたしがこんな場所で降ろしてもらうのかというと−−





ウチの学校には、冬休みからしか教習所に通っちゃいけない決まりがあるから。




つまり、ヒロキはその決まりを破ってフライングしたってわけで。
他にも何人か、免許を取ってる人が居るらしいけど、それはやっぱり大きな声では言えないことなんだよね。





だからヒロキには、




『親にバレるとうるさいし、しかもウチの親、担任と繋がってるから、ここでいいよ』




って、あたしが言ったんだ。





角を曲がると、後ろの方からヒロキの車が動き出す音がした。





渋々といった表情で納得したヒロキは、いつもこうしてあたしの姿が見えなくなるまで見送ってくれる。





ホント、心配性な兄貴か父親みたいな奴だよ。






でもね、家の前で降ろしてもらいたくない理由は、ホントは他のとこにあるんだ。





それはね−−−






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