幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?
「ただいま」
「おう!おかえり。
寒い中ごくろーさん」
最近こうして兄貴的な存在がもう一人、あたしの帰りを待っててくれるようになったから。
「疲れただろ?まあ座れよ。
なんかわからない所はないか?」
「もう予備校で質問してきたからいいよ」
自分の隣をポンポン叩きながら、あたしを見つめる耀太の瞳が優しくて、あたしはついついぶっきらぼうな口調になってしまう。
ホント、素直じゃない妹だ。
「あたし、お風呂行ってくる」
これ以上話しをすると、車で帰ってきたのが見破られそうで、それだけ言うと、あたしはそそくさとリビングから続く階段を駆け登った。
だって、毎日ヒロキに送ってもらってるなんて、絶対に耀太にバレたくないんだもん。
それは担任としての耀太に対する気持ちじゃなくて、自分の好きな人に対する気持ちから。
ずるいのかもしれないけど、耀太にだけはヘンな誤解はされたくないって思ってる。
そんな自己中な後ろめたさを感じてるあたしは、最近耀太を真っすぐ見つめることも、上手く話すことも出来ないでいる。
あたしの変化に、耀太が気づいているかはわからないけれど。
きっと忙しくて、いち生徒であるあたしのことなんて、あんまり気にしてないんじゃないかな……
その証拠に、あたしを毎日待ってる理由も、
『全部の生徒を監視するわけにはいかないから、せめて楓の頑張り具合を基準に考えたいからさ』
って言ってたし。
ただの目安としてあたしを見てるだけなんだよ。
それは生徒としてしょうがないのかもしれないけれど、好きな人から言われる言葉としては、やっぱり辛いものがある。
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