幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?





担任の耀太とはそんな微妙な距離を置いたまま、気づけば明日が推薦入試の当日となっていた。





あたしはいつものように、瑞穂と予備校へ行き、そしてタバコ屋の前で待つヒロキの元へと駆け足で行く。





「よっ!
寒いだろ?早く乗って。
自転車はそこ置いといていいから」



「うん、ありがと」






執事よろしくヒロキが開けてくれたドアから、あたしが乗り込むのを見届けてから、今度は急いで後方へと回り込んだヒロキは、がばりとトランクのドアを開けた。




途端に、ヒュウと吹き込んでくる冷気に、肩がすくむ。






季節はもうすっかり冬。
12月の澄んだ寒空には、キラキラと星が瞬いている。





こう言ってはなんだけど、あたし、寒いのって大の苦手なんだよね。





ヒロキが迎えに来てくれなかったら、今頃はこの寒空の下を自転車で帰ってたと思うと、マジで身の毛がよ立つぐらい。





「今まで、ホントにありがとね。
ヒロキのおかげで、明日の本番にもこうして健康体で挑めるよ」





最初は正直戸惑いもあったけれど、今となっては、あたしの心はヒロキに対する感謝の気持ちでいっぱいになっていた。





運転席に乗り込んできたヒロキに、あたしが今の気持ちを正直に伝えると、まいったなぁと呟きながら、ヒロキは照れ臭そうにシフトレバーを握っていた手で頬をぽりぽり掻いている。






「そんな、もう会えないみたいな言い方するなよ。
まだまだ3月まで俺達クラスメートなんだぞ」



「そんなのわかってるよ。
ただ、ありがとうって伝えたかったの。
見えないかもしれないけど、ヒロキにはマジで感謝してるんだから」






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