幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?
そんなことを考えながら、次々に過ぎて行く景色をぼんやり眺めていると、しばらく無言で車を走らせていたヒロキが、急に名前を呼んだから、あたしは軽く飛び上がってしまった。
「な、なに!?
なんか思い付いた?」
「あー-…いや、うん……
1コだけ……」
「なに?なに?
デ〇ーズ?サ〇デリア?」
「はぁ…?
なんで楓が言うのは食い物ばっかりなんだよ?」
「だってヒロキと淳弥ってなにかっていうと、『腹減ったぁ』って言ってるじゃん」
『この歳頃の男の頭の中なんて、“メシ”か“メス”しかないのよ』
って、瑞穂大先生?もしょっちゅうぼやいてるもんね。
「確かに腹は減りやすいけど……
俺が楓にお願いしたいことはまったくの別口」
「ふうん……で、なに?」
“メシ”でないとすると、残るは………“メス”??
わかった!
誰か紹介しろとか?
でも、ヒロキならいつだって自力で彼女出来るだろうし……う〜ん……
それじゃあ、一体なんなんだって話で。
あれこれ予想してるうちに、エンジン音に混じって、わずかにヒロキの声がした。
「…………か?」
「……へっ!?ごめん!
全然聞いてなかった。
もう1回プリーズ」
この手の車はエンジン音が大きくていただけない。
まったく聞き取れなかった肝心な部分を今度は漏らすまいと、あたしは体ごとヒロキ側に寄せた。
それこそ肩がぶつかるくらいに。
「…………」
………あれ?なぜに無言……?
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