幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?




告白と聞いて、本当なら耀太を思い出すべきところなんだろうけれど……





あたしの頭の中には、昨日の別れ際に見たヒロキの嬉しそうな顔がチラついてしまった。






『25日予定がないなら、俺と2人でこの車でどっか行かないか?』





なんだかんだ話が脱線して、結局降りる寸前に言われた言葉。





初めはなんとも答えられなかった。





受け取りようによっては、ただのドライブのお誘いにも聞こえるんだけど。
日にちが日にちだし、ね……






だから、ただ『予定と言う予定はない……かなぁ』と曖昧に言うのが精一杯だった。





『いっつも一緒に遊んでた淳弥は受験前だし、他の奴らもイマイチだしな……
というか、ぶっちゃけまだこの車のこと誰にも言ってなかったりするんだわ。
できたら、25日はすでにバレてる楓とどっか行きたいっつうか……』





俯くあたしに、早口でひたすら言い訳らしき言葉を並べるヒロキ。





そんなの聞いてたら、ヘンに構えた自分が可笑しくなっちゃって。





ああ、コイツはただ誰かとクリスマスにドライブしたいだけなんだなって。
あたし勘繰り過ぎじゃん!みたいな。






クスクス笑いながら、今やどんどん顔を強張らせていってるヒロキに、あたしがコクリと頷くと−−−





その瞬間に見せたヒロキの顔が、体育祭で優勝した時よりも何倍も嬉しそうに見えたから。





心の中に、再び自意識過剰気味な不安が微妙に生まれてしまったんだ。





まさか……まさかだよね……





瑞穂にこのことを伝えるべきか、正直迷ったけれど。





「なんかあった?
すっごい顔が暗いけど……」





表情を曇らせたあたしにすぐさま気づいてくれる親友に、ここは相談するべきだと決心した。






「あのさ……、25日に2人で居たいって言うのって、どういう気持ちだと思う?」





かなり遠回しにしか言えなかったけどね。







`
< 270 / 344 >

この作品をシェア

pagetop